2010年度・TRパターンミラノ研修・研修生紹介
TR・WORKSHOP/ TR技術を応用したロングコート制作。
個人原型制作、補正、原型パターンメイク終了後、デザイン画を交換し立体造形を実践します。
お互いにデザイナーの立場、モデリストの立場からボリュームデザイン、
バランス構成を調整し、デザイン画に基ずいたパターンを作成します。
<課題選択生地>
笠原さんの選択生地は、ジバンシーコレクションから濃紺と黒のウール&カシミア格子柄ブクレ織りツイード地、
高野さんは同様の黒とチャコール地を選択しました。
田村さんの選択生地はヴァレンチノコレクションからボルドーとベージュ、チャコール糸の平織りツイードウール地を選択しました。
裁断は作業は3人共同で行われ、お互いに裁断時の縫い代付けを確認します。
<コート課題完成>研修第1課題オリジナルコート作成完成・裁断からの作成時間50時間
田村さんの作品はTRコート原型からカーブラインでダーツ分量を分散し、
バイカラー素材の特徴を活かしデザインラインを強調してみました。
高野さんのデザインは、ウエストラインのフィット感と後裾フレアーボリュームを大胆に強調したルダンゴットコートです。
マトンレッグスリーブもデザインポイントです。
笠原さんのデザインは、TR原型のシルエットを変えず、アシメトリーカットに挑戦しました。
左身頃コートはクラッシックなパネルライン、右身頃はTRを応用したカーブラインをモチーフにしました。
<ミラノ老舗テーラー店訪問>
ミラノ市内にあるテーラー店、サルトリア カネ社を訪問しました。この店の社長、エミリオ カネ氏は、過去2度、ミラノ市から彼の実績を称える、金の勲章を受賞している、ミラノ職人を代表する方です。研修生は1週間かけて作成した、コート作品の評価を、このエミリオ カネ氏にお願いしました。
テーラー職人50年のキャリアを誇るカネ氏、学生の作品1点1点を細かくチェックし、縫い代始末、芯地の選択、ボタン付けに至るまで数々の貴重なアドバイスを頂きました。デザイン、縫製技術を含めて彼の総合評価は80点でした!ありがとうございました!
<高級毛皮工場・オベルティ社訪問>
ベルガモ市内にある高級毛皮工場&ブティック、オベルティ社を訪問し、最新の毛皮ファッション、また特殊毛皮縫製、パターンメイク技術等を見学しましたした。 ショールームでは特別に原料となる裁断前の毛皮サンプルを見せて頂き、また市場価格300万の高級ロシアン セイブルミンクのジャケット等を試着させて頂きました。 世界一と言われる毛皮製品輸出国イタリアの品質の高さを改めて確かめました。
<ミラノOEM量産企画縫製工場訪問>
ミラノ市内にある量産企画OEM縫製工場・V2社を訪ねました。この工場ではイタリアブランド・プラダ、フランスブランド・ジバンシー、ウンガロ等数多くの、有名ブランドOEM生産を行う工場です。 ここでは生地購入から裁断、縫製、発送に至るまでのOEM工程を認識し、特殊裁断法、アイロン技術等を学びました。
ニューヨーク州立ファッション工科大学・FITの留学生を対象にした、
TRパターン特別講習会がミラノ工科大学にて開催されました。
研修生達も参加し、国際交流の場を体験しました。
今回の授業ではTRパターン基礎技術を基に、半身デザイン構成を行い、
カシミア・リバーシブ素材を使って、職人技術リバーシブル縫製にて作品を仕上げました。
<国際見本市展、ミラノメンズコレクション見学>
フィレンツェ国際見本市展、プレコレクションドンナ・PITTI W展を見学しました。
この展示会は2010・11秋冬ウーマンコレクションのアンテプリマとして、2月に開催されるミラノファションウイークに先駆けて開催される、国際プレタポルテ展示会です。研修生は日本からのバイヤーとして入場し1年後のトレンドをリサーチしました。
1月16日から5日間、ミラノコレクションウォーモが開催されました。期間中に紹介されるファッションショーは50ブランド、その他100社以上のブランドがショールームで展示され、世界各国からバイヤー、ジャーナリストが集結する大イベントです。 研修生は、ミラノメンズコレクションブランドで注目を浴びている若手デザイナー、フランキーモレッロ、またミラノ有名ブランドの一社として存在感の高い、ジャンフランコ フェレのファションショーを見学しました。
<皮革レザー国際見本市見学>
ミラノフィエラシティー会場で開催された、2011年春夏・皮革原料の国際見本市・アンテプリマ展を見学しました。皮革なめし工場数でも世界トップクラスを誇る、生産国イタリア。国内は勿論海外からの出展も含め、300社以上が集結する皮革展示会です。研修生達はデザイナーとして入場し、1年先ののトレンドカラーを認識し、高級感溢れるイタリア品質をリサーチしました。
<パリ研修>
一泊二日のパリ研修。今回はパリプレタポルテ フェミナン展のイベント、2010-11年秋冬コレクション・WHO'S NEXT展、またアクセサリー、シューズ、バッグの展示会・プルミエール クラス展を見学しました。
パリルーブル美術館に隣接している、アートデコラティフ博物館では、1920年~30年代に一世風靡した有名ファッションクリエーター、マドレーヌ ヴィオネ展を見学しました。現代の有名デザイナー、三宅一生、アライア等多くに影響を与えた、マドレーヌ ヴィオネの275点の画期的な作品から、当時の彼女のモードの世界を物語る感動を体感しました。
<パリ アトリエ シャルドンサヴァール学院でのTR講義>
パリ11区にあるファッションアーティストを養成する、専門学校です。少人数制のこの学校の校長先生は、元映画プロデューサーとファッションクリエーター。1年時のファウンデーションイヤーでは、ヌードデッサン、ストラクチャーアート等を主体に勉強します。研修生は3年生30人の前で日頃のTR技術の腕前を披露しました。
SATOMI TAKANO
高野 智美
新潟国際トータルファッション専門学校卒業
新潟県新潟市出身
<ミラノ研修レポート>
1月4日からの1ヶ月間、毎日刺激的な事ばかりで本当に充実した生活をする事ができました。
生活したアパートや工房、ミラノの街並み、人、洋服、言葉、美味しい食べ物、たくさん乗った82番のバスやメトロ、トラム、マリアさんのカプチーノ・・・・見たり感じたりしたもの全てがとても素敵で刺激的でした。
ミラノではドゥオーモやプラダの本店、たくさんのお店を回ったり、メルカートや骨董品市、ミラノメンズコレクションを見る事が出来ました。
フィレンツェでは、ウフィツィ美術館や国際見本市、ベルガモではラピュタに出て来そうな素敵な街並み、先生が好きなスポットにも連れて行ってもらったりと、私も大好きな町になりました。
コモはスイスとの国境が目の前にあって、ちょっと高くて怖かったけど、絵画のような景色を見る事が出来ました。
1泊2日のパリ研修は私にとって1番の刺激でした。展示会では最先端のファッションも見れたし、本に載っていたヴィオネの服も真近で見る事が出来ました。ルーブル美術館は専門学校の研修で行ってからまた直ぐに来れると思っていなかったので見れてとても幸せでした。
パリのシャルドンサヴァール学院では日本人留学生の方が居て、たくさんのお話を聞いて、作っているものを見て、私ももっと努力しなくては!!と感じました。サンミッシェルで食べたチーズフォンデュ、ジェラート屋、エッフェル塔も凱旋門もシャンゼリゼ通りも、寒い中歩いて行った事も、とても素敵な思い出になりました。
先生の工房では、プラダの原型を使って、コート、リバーシブル生地のJK、ドレスを作って、パターンの補正やボタンホールやテーラー衿などの部分縫い、それぞれの生地やデザインの細かい工程を学ばせてもらって、本当に勉強になりました。先生が今までやってきた事を惜しげもなく教えて下さって、本当に有り難いことだなと感じました。
コートもJKもドレスも、全て満足するものが出来ました!!何より毎日服を作れる環境がとても幸せでした。
TRパターンミラノ研修に参加させていただいて、最初は慣れるのに大変でしたが、先生のお陰でたくさんの事を学ばせてもらったし、これからの視野を広げることが出来ました。たくさんご迷惑お掛けしてしまいましたが、先生、田村さん、笠原さんと毎日大笑いして過ごせたことが、私の何よりの思い出です。
2010年2月4日ミラノ
高野智美
TOKIKO KASAHARA
笠原 とき子
文化ファッションオープンカレッジ
TRパターン講座修了
さをリ織り・クリエーター
長野県長野市出身
<ミラノ研修レポート>
洋裁の基礎もままならない私が、<TR>の文字に不思議な魅力を感じ、受講した文化服装学院オープンカレッジ。
その授業の中で<ミラノ研修>を知り、私でも大丈夫?と思うより先に勢いで手を挙げていました。
2010年1月4日から2月5日までのミラノでの生活。
課題はコート、リバーシブルジャケット、ドレスの3点。私にとっては全て目新しい事ばかりです。
途惑いながらも、教えていただいたその通りに再現しようとする集中力が気持ちよく感じました。
出来上がったそのコートを着て、カネさん(その道50年のプロ!)に見ていただいた日は、一生の思い出となりました。
服作りに向う真髄な姿勢、的確なアドバイスには感激しました。
ミラノの街を何とか歩けるようになってくると、次第に緊張感がほぐれ、ゆとりと巾が広がったように思います。
そして!1ヶ月、何から何まで全てに渡り面倒を見ていただいた、佐藤先生、本当にありがとうございました。
最後にここで学んだ事を私のライフワーク<さをり織り>にどう生かしていくか・・・今後の私の課題です。
2010年2月4日ミラノ
笠原とき子
YUKI TAMURA
田村優季
神戸文化服装学院・服飾専科
愛媛県松山市出身
<ミラノ研修レポート>
ミラノ研修での作品は全てTR技術を使用したコート、JK,ドレスの3作品です。
コート制作では各々がデザイナーとパターンナーという立場に立ってお互いにデザインを交換しパターンを作成しました。
限られた時間の中に的確に自分のイメージを相手に伝えることは難しく良い経験になりました。
縫製はオートクチュールのやり方で今まで教わってきたh方法よりもシンプルで」解りやすくその上綺麗に仕上る事が出来ました。
少し時間がかかってしまいましたが、ミラノコレクションにも着て行くことが出来満足しています。
リバーシブル生地を使用したJK製作は全く初めての作業ばかりで慣れるまでとても大変でした。
一つ一つの作業に意味があり正確さが求められますが、その分出来上がったものは手の込んだ素敵なものに仕上がりました。
応用していくともっと凄いものが出来ると思うのでまた挑戦しようと思います。
ドレスはまだ製作中ですが、ドレープをたくさん入れ、様々なドレープが組み合わさったものにしようと考えています。
仕事の他にもミラノやパリの大学で現地の学生と一緒にTR講義に参加しました。
どの学生もモチべーションが高く、私もまだまだ頑張らないといけないなと感じさせられました。
何より服作りを楽しんでいて自由でとても刺激を受けました。
また、イタリア世界遺産や美術館にも足を運び、沢山の文化や芸術に触れるこのができ感動しっぱなしでした。
ベルガモの景色や外観は最高で将来一度は住んでみたい町です!!あとルーブル美術館での解説オーディオはお勧めです!!
ミラノメンズコレクションや展示会にも参加しました。今まで雑誌でしか見ていなかったものを生で見て感じることができてとても幸せでした。私もいつかあの舞台で活躍したいです!!今回の研修で沢山色んな経験をして、人に出会って自分の将来について真剣に考えることができました。そして自分のやりたいことが少しずつ見えてきましたし、どんどん挑戦」していくという気持ちが大きくなりました。
この研修を次に繫げて成長して、またミラノに戻ってきます!!
2010年2月4日ミラノ
田村優季