Students2010B

2010年度・TRパターンミラノ研修・研修生紹介

 

     

<TRワークショップ・オリジナルコート制作>

TRコート原型から製作者に合わせ、人体補正、仮縫いを行います。個人の原型パターン作成後、お互いにデザイン画を交換し、デザイナー、モデリストの立場となり、立体ドローイングを実践します。お互いにデザインの主張、モデリストから見たデザインボリュームの調整、バランス&プロポーション感覚を養い、期限内の課題作品制作に挑みます。

     

     

<課題コート用、生地選択>小島さんの選択生地は、ロンドンアスレイ社の茶系ウーステッドフらネルウール地。水野さんの選択生地は、プラダコレクションから白黒の綾織ツイードウール地と部分デザイン用差込み生地に、茶系のウール地を選択しました。岩楯さん、天野さん、上田さんの選択生地は、2009-10年度の新作ジヴァンシーコレクションから格子柄ブクレ織りツイードウール地を選択しました

     

     

    

  

<TRワークショップ・オリジナルコート完成>

研修第1課題・TR原型コートからの応用作品、ロングコートの完成です。人体補正、パターンメイクから、裁断、本仮縫い、最終工程の裏地付けは全て纏り縫いで仕上げ、テーラー仕立による、完成度の高い作品が出来上がりました。制作時間・80時間

  

    

<ミラノ老舗テーラー店・サルトリア カネ社訪問>

ミラノ市内にある、老舗テーラー店・サルトリア カネ社のオーナー、エミリオ カネ氏はこの道50年の大ベテランテーラーです。ミラノ市から最優秀職人に捧げる金章を2度受賞している彼はミラノ職人を代表するオートクチュールテーラーです。今日は研修生達の課題作品オリジナルコートの技術評価をいただきに、アトリエを訪問しました。カネ氏の職人技、服作りに捧げる情熱、一点物を時間をかけて仕上るオートクチュール技術の素晴らしさを改めて認識しました。

   

 <ミラノOEM量産縫製工場・V2社訪問>

ミラノ市内に構える、量産OEM工場・V2社は高級ブランドのOEM生産を40年以上手懸けています。現在V2社のOEM生産は、イタリアブランド・プラダ,エトロ、またフランスブランド・ジヴァンシー、ウンガロ、ガリアーノ等年間8000着を生産する縫製工場です。です。この日はジヴァンシーの春物コートを生産中、OEM生産プロセスの裁断から縫製、アイロン作業、手纏り作業、発送作業など、的確にオーガナイズされたOEM生産システムを学びました。

    

     

<国際見本市・ミラノウニカ生地&付属アクセサリー展リサーチ>

毎年2回ミラノフィエラシティー大会場で開催される、国際見本市生地展ミラノウニカ展は世界でも最大規模で最も注目されている展示会です。今回は2011年春夏コレクションのリサーチのため、日本からのデザイナーとしてビジター入場し、3日間一年先のカラートレンド、最新生地テクノロジー、イタリアの最高級品質素材を認識し、生地デザイン企画、生産、流通管理に至るまで、ミラノコレクションの源を体感する、貴重なリサーチでした。研修生はお気に入りの、ブースに入り、生地サンプル、付属ブレード、ボタン等をオーダーし、日頃のイタリア語勉強の実践としても充実した3日間を無事終了しました。

    

 

   

<TRパターン特別講参加>

ヴェネチアIUAV工科大学・芸術学部・ファッションデザイン学科にてのTRパターン技術講座開講。この学部はイタリアファッション評論家、マリアルイザ フリーザがディレクトするヴェネト州の国立大学です。国際交流の一貫として研修生達はTR技術のインストラクターとなり、イタリア人学生達とコミュニケーションをとり、刺激的な一日を過ごしました。

   

 

   

<2010-2011秋冬ミラノコレクション開催>

2月24日から開催された大イベント、ミラノコレクションではミラノモーダドンナ・フィエラシティーメイン会場を主体にミラノ市内のファッションショー会場、ショールーム、ミュージアム等の特別会場にて、80以上のコレクションがショー形式で紹介されます。世界各国から集まる、ジャーナリスト、バイヤーに交わり、研修生達も今回のコレクションでは、ジャンフランコフェレ、ロレンツォリヴァ、ロッコバロッコ、ルイザベッカリア、ガエターノナヴァーラのファッションショーを見学しました。

  

<ミラノファッションウイーク・国際見本市プレタポルテ展開催>

2月26日から3月2日、ミラノドンナコレクションと同時に開催されるミラノプレタポルテ展では、世界各国から集まる、500以上のコレクションが展示されます。ミラノシティフィエラ会場では、MI展、NOW展、またトルトーナ会場ではWHITE展、NEOZONE展、TOUCH展、またアクセサリー靴、シューズの展示会CLOUDINE展が開催されます。

    

NAO MIZUNO

水野 奈央

文化女子大学・服装造形学科

アドバンストテクニックコース

茨城県取手市出身

ミラノ研修レポート

この1ヶ月間で、ファッションの世界の広さ、色んな意味で世界の広さを思い知りました。バイヤーとして参加した、ミラノウニカ展(生地見本市)では、何百、何千社という会社が出展していて、規模の大きさには圧倒されました。そこで

は、語学力だけではなく、自らアピールする積極性と度胸が試される場でした。 特にイタリア人は、私の印象では人見知りをする人が多く、こちらが挨拶をするまで心を開いてくれないので、明るく挨拶することが大切だと感じました。

 また、イタリアのファッションと言えば、テーラーによる最高峰の縫製技術というイメージでしたが、そんなイタリアも、大量生産ブームに流れつつあることに、驚きました。テーラーのエミリオ カネさんにお会いしましたが、イタリアの学生も縫製に興味を持たなくなりつつあると、お話をしていました。

 多くの人がファッションを楽しめる大量生産にもその利点がありますが、一着ごとに丁寧に仕上ることの出来る、テーラーが減っていることはとても残念です。 華やかなファッションショーの裏には沢山の人が関わり、一つ一つを縫い上げていく、テーラーの存在も忘れてはいけないと思いました。

 今回制作したコートとジャケットは時間に追われ、完璧な作品は作れませんでした。まだまだ未熟だと痛感しました。しかし大学生活の最後に、イタリアファッションを肌で感じながら、佐藤先生のもとでオートクチュールの技術を学べことは、これからの私の大きな糧になると思います。

 

2010年3月6日ミラノ

水野奈央

 

 

AMI KOJIMA

小島 亜美

文化女子大学・服装造形学部

アドバンストテクニックコース

群馬県邑楽町出身

 

ミラノ研修レポート

私は服のデザインが、とても苦手で、立体裁断やクリエィティブな仕事には、全く向いていないと思っていました。そんな学生生活で佐藤先生のTRの授業を受けて、最初とても驚いて感動したのを覚えています。TRパターンのやり方を知って、もっと服を作りたいと思ったことと、学生生活最後の長期休暇を有意義に過ごしたいと思い、今回のミラノ研修に参加しました。

 初めに、プラダのTRコート原型42号から、個人の体型に合わせたコート原型を作成しました。人それぞれ体型によって補正が異なり、その補正方法が見られて面白かったです。そこからコートのデザインを各自で行い、パターン作りは研修生同士で交換して作成しました。人のためにパターンを作成するのは初めてで不安でしたが、その分誰にでも解り易いように、正確に作ることに重点を置いて作成したことが、とても勉強になりました。布は今までに扱ったことのないような、高価なものを使用し、イタリアテーラーの作り方を教えていただきました。

 出来上がったコートは、学生生活の中で一番満足のいく作品となりました。そのコートを一流のテーラーの方に見ていただき、話をしていただいたのも、とても印象に残っています。言葉は解らなくても服作りへの情熱が伝わってきてとても感動しました。ずっと忘れずにいたいと思います。

 次にリバーシブルの布を使用しジャケットを作成しました。殆どが手作業で根気が入りますが、手作業は服への愛情が伝わる気がして大好きなので、作業に集中できました。布はコートの布と同様に日本では見られないようなとても良いもので、そんな布を扱うことが出来て嬉しかったです。

 

作成以外でも、ヴェネチア工科大学の学生と交流したり、様々な場所に観光し、丁度ヨーロッパはカーニバルの時期でその雰囲気を楽しんだり、普通に行けない生地見本市や展示会、ファッションショーに行かせていただき、様々な経験をすることが出来ました。また他の研修生の作品に刺激を受けたり、共同生活の中で、将来について等、話し合えたのも楽しかったです。佐藤先生のこれまでの経験や価値観を聞かせていただくことも出来て、鳥肌が立つ程感動しました。先生は私の一番尊敬する人です。

 1ヶ月間毎日充実していて、本当にあっという間でした。この1ヶ月で更に服作りへの想いが強まった気がします。今回の研修での様々な経験を生かして、社会人になっても大好きな服作りにずっと関わっていけたらいいなと思います。

 

2010年3月6日ミラノ

小島 亜美

 

CHIAKI IWADATE

岩楯 千明

文化女子大学・服装造形学科

アドバンストテクニックコース

東京都江戸川区出身

 ミラノ研修レポート

今回のミラノ研修では、コート、リバーシブルジャケットの制作を行いました。コート制作では、パターンを他の子にやってもらうという、初めての体験をしました。縫製ではアイロンの大事さを改めて確認しました。

コート製作中には、いろいろな所に足を運びました。ヴェネチア大学に行き、TRの授業を受けながら, 教えたり、イタリアの学生から沢山の刺激をもらいました。

 ミラノウニカ展にも、バイヤーとして行くことが出来ました。来年のファッションに使用される布地やアクセサリー、などを沢山見る事が出来ました。またそれをバイヤーとしてサンプルの注文を体験することも出来ました。

またコートが完成し、ミラノコレクションを見に行ったり、展示会にも足を運ぶことが出来ました。出来たコートを着て、カネ氏の所にも訪問しました。すごい人を目の前に自分の作ったコートを見てもらえてとても感動しました。またとても気さくな方で、緊張がほぐされ、沢山のお褒めの言葉を頂くことが出来ました。

 リバーシブルジャケットでは、とても高い布地を使用しました。なので、デザインよりも縫製に力を入れようと思い、TRとは関係ないデザインで挑みました。とても大変でした。ほとんどが、手まつりで、数ミリのずれが気になってしまう作業でした。けれど出来上がった時の感動はとても大きなものでした。

 ミラノ研修を終え、沢山の刺激を町、人、歴史にもらい、縫製の技術を学ぶことが出来ました。

 

2010年3月6日ミラノ

岩楯 千明

 

MISUZU AMANO

天野 美寿々

文化女子大学・服装造形学科

アドバンストテクニックコース

山梨県大月市出身

ミラノ研修レポート

ミラノ研修ではとても貴重な体験が沢山できました。

高価な生地でコートとジャケットを作ったこと。
作ったコートを大ベテランのテーラー、カネ氏に見てもらい評価を受けたこと。
デザイナー・バイヤーとして展示会に参加したこと。
ミラノコレクションを見たこと。
職人の作業現場を見たこと。
すばらしい世界遺産を見たこと。
本場のカーニバルを見たこと。
大学で現地の学生と交流したこと。
ミラノの街を一人で歩いたこと。
買い物に行ったこと。
おいしいものを沢山食べたこと。
ロンドンに行ったこと。
などなど細かく挙げればきりがありません。

ファッションを通じて世界の広さを再確認し、自分の世界の小ささにすこしへこみました。
コート作りでは、人のパターンをまかされとても緊張しました。自分のはジバンシーで使用された生地を使うことができ、デザインも大満足の良いものが作れました。
ジャケット作りでは、初めて習う縫製方法や生地の扱いが難しかったです。完成することができなかったのが残念でした。
展示会では見たことないような素材に目を奪われ、Made in Italyのすばらしさを実感しました。と同時にサンプルオーダーの時などに言葉の壁の高さを実感しました。本当はただの学生なのにプロの現場に軽々しく来ていいのかとも思いましたが、いい勉強になりました。
本場のファッションショーは、モデルさんがとても綺麗で、それぞれのブランドが色々な会場で行い、演出にもこだわっていてとても面白かったです。
観光の時は、いつも良いお天気に恵まれ、カーニバルの時期にもぶつかり、運が良かったなと思いました。
また、食事の手伝いをしたり、恋バナをしたり、ふざけあったり、共同生活での思い出も沢山作ることができました。先生の色々な話も、意外な一面も良い思い出です。1ヶ月というのは長いようであっという間でしたが、毎日が充実し、自分の世界を広げることができ、学生生活の最後にこのような経験ができて本当に良かったです。
私はこの研修に参加するにあたり、良い作品を作ること、できるだけイタリア語を話し国際交流すること、沢山学び、吸収することという目標を立て臨みました。
研修が終わって見て、これらの目標を十分達成できたとはいいきれませんが、成長し力になった部分はあると思っています。今回身に付いたことを少しでも今後の人生に役立てたらと思いました。
そしてこの研修で関わったすべての人に、Grazie mille!!!!

2010年3月6日ミラノ

天野美寿々

YUKA UEDA

上田 悠佳

文化女子大学・服装造形学科

アドバンストテクニックコース

東京都八王子市出身

ミラノ研修レポート

ミラノ研修では、TRのコートと、リバーシブル縫製のジャケットを製作しました。コートは、アシンメトリーに挑戦しました。ボタンの多いデザインで縫製で苦労しましたが、テーラーのカネ氏に見ていただいたときに努力を認めていただき、よかったです。パターンは自分のではなく、天野さんのパターンを担当しました。他人の作品のパターンを作るのは初めてで、責任重大で緊張しましたが、とてもよい勉強になりました。
ジャケットは、表裏の色の違いを活かしたデザインにしました。リバーシブル縫製は手作業が多くて大変でしたが、その分愛着のある作品になりました。
また、この研修で日本では体験できないことを体験することができました。ヴェネチア工科大学では、インストラクターとして授業に参加させていただき、現地の多くの学生とふれあう機会があり、とてもよい刺激を受けました。ミラノウニカの生地見本市では、デザイナーとして入り、サンプルの発注の商談をしました。ミラノコレクションでは、バイヤーとして見に行き、1日に4つもショーを見るという貴重な体験をしました。
1カ月集中してTRを学ぶことで、自分の服作りと向き合える大変良い機会だったと思います。たくさんの人に出会い、たくさんのものを見て世界の広さを感じました。短い1か月でしたが、とても充実した1カ月でした。

2010年3月6日ミラノ

上田悠佳